【新唐人2011年7月20日付ニュース】中国のスポーツ界は、ドーピング疑惑で注目を浴びているほか、引退後の選手の厳しい境遇も話題を呼んでいます。先日、体操の元金メダリストが路上の芸人に成り果てたことがネットで明かされました。旧ソ連のスポーツ制度を踏襲した中国ですが、再び、人々の批判の的になっています。
7月14日、あるブログにこんな文章が載りました。「北京の地下鉄の出入り口で、どれだけの人がこの体操の元世界チャンピオン、張尚武を見たことがあるのか。私の出勤前に彼はここに来て、私が8時に帰宅しても彼はまだここにいる。アキレス腱が切れても国は助けない」。ブログには、警備員に追い出される張さんの写真も載っています。この書き込みはネットで瞬く間に広がり、15日の夜までで、すでに35,709回も転載されました。
数日後、張さんは多くのメディアの取材を受けます。「祖父が脳血栓になったので、治療のためのお金を稼ぎたい。しかし秀でたものがないので、芸を売るしかない」と述べました。
体操の元世界チャンピオン 張尚武さん
「祖父に尽くしたいのです。しかしどうしようもありません。今の私には力がありません。芸を売って稼ぐしかありません。祖父の治療のために」
張さんは5歳で体操を始め、12歳でナショナルチーム入りを果たし、18歳のとき、ユニバーシアードの吊り輪で優勝。さらにベルギー・ヘントでの世界選手権にも参加。22歳で引退後、25歳のとき、窃盗罪で4年半の刑になりました。
張さんの引退の原因について、メディアはさまざまな報道をしています。窃盗やガールフレンドのために暴力を振るった、張さん自身の性格や家庭崩壊など。しかし、引退後、就職難に陥ったことは紛れもない事実です。
張さんの叔母によると、張さんは警備員の仕事を探したものの、151センチの身長で落とされました。家族が知り合いに仕事の紹介を頼むと、「世界チャンピオンなのに」と馬鹿にされたそうです。
張さんだけではなく、多くのエリート選手も引退後の境遇は悲惨です。女子重量挙げの元中国チャンピオン、邹春蘭(ぞう しゅんらん)さんも生活に困り、あかすりをやりました。張さんも、ナショナルチームに入ってから、子ども時代を失ったと告白。
体操の元世界チャンピオン 張尚武さん
「12歳でナショナルチームに入ってから、20歳で引退するまで、20歳で負傷するまで、子ども時代はありませんでした。当時、 私が一番親しんでいたのは冷たい器械です。平行棒 、鉄棒 、あん馬 、床、これらと共に成長しました。20歳になるまで」
張さんの叫びに、ネットでは熱い議論が沸き上がりました。「これから、どれだけの親が子どもにスポーツの英才教育を受けさせるのか。唯一笑えるのは、ユニバーシアードのチャンピオンが学校に通っていなかったと告白したこと。この試合の参加資格は、一体どう審査しているのか」
「共産党政府は、相手が必要となればとことん大事にするが、要らなくなれば態度を豹変させる。悲しいことだ」「私は誓う。これからオリンピックなど、どんな試合を見ても、たとえ中国が優勝しても何も感じない。メダルを取って用なしになった選手を、さっさと見捨ててしまうからだ」
共産党体制下の選手だというユーザーはこんな言葉を残しました。「同じ選手として、これをみて無力感を覚える。無名の選手はまさに弱者だ。選手が負傷した後のことをみんな知らない。建築現場で働けばいいという人もいるが、皆様には、さらに深く、引退後の選手の境遇を理解していただきたい」
新唐人テレビがお伝えしました。